任せる、の先

支配されたい、と思うこと

支配されたいという希望は、リードされたいことの延長のようでいて、実は別のものです。違いは、判断を渡すのか、関係そのものを一時的に組み替えるのかにあります。

リードとの違い

リードは、次に何をするかの判断を相手に移すことです。関係の形は変わりません。一方で支配は、上下のある関係を一時的に作ることを含みます。呼び方が変わったり、許可を求める形になったりするのはこのためです。

この違いが大きいのは、終わったあとに残るものが違うからです。判断を渡しただけなら終われば戻りますが、関係を組み替えた場合は、戻すための区切りが要ります。

求めているものの正体

この方向を望む理由として多いのは、責任からの一時的な解放です。日常で判断と責任を担い続けている人ほど、それを完全に手放す状態に強く惹かれる傾向があります。

もうひとつが、無条件に受け入れられる感覚です。支配される形をとると、評価される立場から外れます。うまくやらなくてよい、という状態そのものが求められていることがあります。

どちらの場合も、必要なのは強さではありません。むしろ相手が丁寧であるほど成立しやすい種類です。

言葉だけでも成立する

支配というと拘束や道具を思い浮かべがちですが、言葉だけでも成立します。むしろ言葉だけのほうが、途中で止めやすいぶん安全に試せます。

許可を求める形にするだけで、上下のある関係が作れます。道具は要りません。

「勝手に動かないで」行動を制限する形。実際に押さえつける必要がありません。
「聞いてからにして」許可を挟ませる形。もっとも軽い入り口です。
「今日は全部こっちが決める」範囲と期間を先に区切る言い方。終わりが明示されるので戻しやすい。

3つ目のように「今日は」を付けるだけで、日常に持ち越さない形になります。試す段階では、この一語があるかどうかが安全性をかなり左右します。

試すときの前提

この方向は、他のどれよりも相手への信頼が前提になります。止めてもらえるという確信がないと、支配ではなく単に逃げ場のない状態になってしまうためです。

  • 止める合図を決め、出たら理由を聞かずに止めると合意する
  • 終わりの区切りを言葉で作る(「おしまい」と声に出す等)
  • 終わったあとは普段の呼び方に戻す
  • 日常の決定事項には持ち込まない

3つ目と4つ目が抜けると、関係そのものに影響が出ます。区切りを作ることは、その場を安全にするためだけでなく、日常を守るためのものでもあります。

日常では自分のほうが決めている側、という場合も珍しくありません。むしろその組み合わせのほうが多いくらいです。普段の力関係と逆になることを、相手が戸惑うことがあります。

そのときは、これが入れ替えではなく一時的な役だと先に言っておくと通りやすくなります。日常の関係を否定しているわけではないと分かれば、相手も引き受けやすくなります。逆に、日常の力関係をそのまま持ち込もうとすると、どちらにとっても重くなります。

よくある質問

支配されたいのとリードされたいのは違いますか?

違います。リードは判断を移すだけですが、支配は上下のある関係を一時的に作ることを含みます。

なぜ支配されたいと思うのでしょうか?

責任からの一時的な解放と、評価される立場から外れられることが、理由として多く挙がります。強さそのものを求めているとは限りません。

試すときに気をつけることは?

終わりの区切りを言葉で作り、終わったら普段の呼び方に戻すこと。そして日常の決定事項には持ち込まないことです。

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